STEP6 「衣装をそろえよう」



これまで何度も繰り返してきたことですが、パンクというものは、決して音楽性だけに関わる問題ではありません。
パンクロッカーは、演奏、衣装、パフォーマンス、生きざまなど全てを判断されて「パンクロッカー」と呼ばれるのです。
ここでは、正しいパンクを行う上で絶対に必要となるパンク衣装について解説を加えていきます。

・ジャケット、Tシャツ、パンツは?

小物類は置いておくとして、まずはおおまかなファッションについて考えていきましょう。
ジャケット、Tシャツ、パンツなど人目に触れる部分は、やはりパンクファッションに身を包みたいところですよね。
では、代表的なパンクファッションを考えてみましょう。
破れた服を安全ピンでとめた服や、 ボンテージパンツ、ガーゼシャツ・・・。これらが代表的なパンクファッションです。
これらのパンクファッションは、パンクロッカーのみならず、一般的にも広く愛用されています。
それは全て、これらのパンクファッションが極めて安価に揃えることができる経済的な衣類であるためです。
以下に、代表的なパンクファッションと、その製作手順を簡単にアドバイスいたします。

最初の「破れた服を安全ピンでとめる」というファッションは、最も手軽に実践可能な入門用のパンクファッションですね。
このファッションについては、もはや解説は不用でしょう。
あなたの衣類の中から飽きて着なくなったもの、使い古したもの、もしくは繊維疲労により破れた服を用意しましょう。
そして、それらに大雑把に鋏を入れましょう。
鋏の入れ方は適当で構いませんが、脇の下の部分や、ヘソの辺りから下をばっさり切れば伝統的なパンクファッションですね。
そのあと、破った場所や、正面などの目立つ場所に安全ピンをさしましょう。
安全ピンは大きくて色の付いた目立ちやすいものが最適です。
「安全ピンをつけている」ということがパンクファッションの何よりのアピールであるからです。
とにかく安全ピンは大きくて目立つ色の付いたものを選びましょう。
幸いなことに、パンクファッションに最適な安全ピンはどこでも簡単に入手することが出来ます。
私は近くの100円均一ショップで購入しました。


(使い古した服と安全ピンで簡単に製作できます)

ボンテージパンツというのは、要するにベルトのついたズボンです。
両足をベルトで繋いでいるのは、単純に考えるとただただ動きづらいだけであり、ややもすれば事故を誘発する・・・・・・全く無駄で不毛なものです。
しかし、その非生産性に多くの人がパンク魂を感じるのも事実です。
ですから、私たちも積極的にパンツをベルトで繋ぐ必要があるのです。

では、具体的にパンツを繋ぐにはどうすれば良いのでしょうか。
動きづらい、ということが大切である以上、単にヒモを付けるだけでも用を足すことはできますが、これではファッショナブルとはいえませんよね。
そこで、私がオススメするのがガムテープを使った方法です。

ガムテープを両面合わせで貼りつけ、それを膝のほんの少し下のあたりに貼り付けます。
パンツが黒いものであれば、ガムテープも黒色に合わせたほうが良いでしょう。
これでボンテージパンツも完成です。
このファッションも非常に経済的ですね。

最後に、ガーゼシャツです。
ガーゼ生地は肌触りが良く、また汗をしっかり吸収するので夏場などに良いですね。
ガーゼ生地のシャツを既に所持しているならそれを使いましょう。
なければ、近くの衣類量販店へ買いに行きましょう。
ガーゼシャツはどこでも手軽に、安価に入手できます。


(例:無印良品、綿二重ガーゼチェックボタンダウンシャツ。2500円)

また、ガーゼシャツを買うカネすら惜しい、という人は、適当なTシャツ(白に近い方が望ましい)にパンクっぽい絵柄を貼りつけても良いでしょう。
私は、ネットで落としたシド・ヴィシャスの画像をプリントアウトし、それを鈴木あみのアイドルTシャツの上から貼りつけています。
これだけでも十分立派な、どこへ出しても恥ずかしくないパンクTシャツとなります。

  →  
(鈴木あみTシャツがパンクTシャツに早変わり!)


・アクセサリーはどうするの?

パンクのアクセサリーには様々なものがあります。
たとえば、もっとも一般的なものはチェーンをアクセサリーとして使う例でしょう。
チェーンは、単に自転車屋さんなどから鎖を買ってきて巻きつけたり、腰から垂らしたりするだけですので、別段説明する必要はありませんよね。
ここでは、特に説明が必要と思われる、鋲アクセサリーと南京錠ネックレスについて解説します。

まず、鋲アクセサリーです。
下図が一般的な鋲アクセサリーです。

鋲ブレスレット 鋲ベルト

このような商品は若者がよく行くような雑貨屋、洋服屋、レコード屋などに置いてありますが、しかし本当のパンクロッカーならば、それら既製品で満足するはずがありません。
こういった鋲アクセサリーを、自分の思うように、心から気に入るものを自作するのが本当のパンクロッカーです。
しかし、その作り方がまずければ、それだけで「こいつはファッションだけだな」と判断されることもあります。
鋲アクセサリーを作る、たったそれだけのことですが、パンクロッカーにとっては大切なファクターなのです。

では、具体的な鋲アクセサリーの作り方です。
上の写真を見て、その通りに製品を作ろうと考えるならば、まず私たちは鋲を1つずつ購入しなければなりません。
さらに手芸屋さんなどで革、合皮などを購入しなければなりません。
それに鋲を一つずつ打っていきます。
穴をあけ、木槌でコンコンと・・・一つずつ、地道な作業です。一般的なパンクロッカーにはとても耐えれない面倒くささです。
上の写真通りの製品を作ろうとするならば、鋲アクセサリー作りはいばらの道といえるでしょう。

が、しかし、実際のところ、そこまでのステップを踏んで鋲アクセサリーを作るパンクロッカーはほんの一部の上級者のみです。
私がこれからオススメするのは、もっと簡単な方法でそれなりの物を作るやり方です。
初心者の方は、しばらくの間はこれで通して、もっとより上級のパンクに挑戦したくなったら、改めて鋲打ちに挑戦すれば良いでしょう。

では、私のオススメする初心者用鋲アクセサリーの作り方です。
まずは、鋲アクセサリーの特徴を押さえましょう。
冷静に見ると、鋲アクセサリーが押さえなければならないポイントは意外と少ないものです。つまり・・・・・・
  • 全体的に黒っぽい
  • 突起物がある
たったのこれだけなのです!
私たちは、これらのポイントを押さえさえすれば、それなりの鋲アクセサリーを自作することができるのです。
ここまで言えば、具体的な方法も見えてきましたよね?

私たちがまず入手しなければならないのは、エアパッキンです。
エアパッキンとは、割れ物などを梱包してある潰して楽しいヒマ潰しグッズ、俗にいうプチプチのことです。


(CDを梱包するエアパッキン)

このエアパッキンは、東急ハンズなどで安価に入手することが出来ます。(1.2×1m 価格:150円)
見ての通り、エアパッキンならば、「突起物がある」という点は合格ですね。
あとはこのエアパッキンの表面を黒のマジックなどで黒く塗りつぶすだけです。
この作業が少々面倒くさいですが、鋲を1つずつ手打ちする面倒くささに比べれば遥かに簡単なものです。
このくらいは頑張って成し遂げましょう。
これで鋲ベルト、鋲ブレスレットなど、鋲アクセサリーは一通り作ることが出来ます。

  →  
(ちょっとした工夫で鋲ベルトは簡単に作ることができます)

では、次に南京錠のネックレスを見ていきましょう。
南京錠のネックレスはシド・ヴィシャスがいつも付けていたことで有名ですね。
あなたが本当のパンクロッカーであるならば、当然シド・ヴィシャスに憧れていることでしょうし、そうであるならば当然南京錠のネックレスを身につけたいと考えているでしょう。
幸いなことに、南京錠のネックレスを製作するのは、鋲アクセサリーを製作すること以上に簡単でお手軽です。

まずは、お近くの鍵屋、もしくはホームセンターへ行き、お好みの南京錠を購入しましょう。
あとは、それにたこ糸などのヒモを通して適当な長さで結び、首から下げるだけです。
これは本当に簡単です。
南京錠も安いものなら100円からありますし、手始めに製作してみても良いですね。
この気軽さが南京錠ネックレスの最大の魅力といえるでしょう。

  あ 
(南京錠ネックレスは手軽に用意できるアクセサリーです)

これでパンクアクセサリーに関する解説を終わります。
しかし、大切なことを忘れないで下さい。
アクセサリーに幾ら手間暇をかけても、パンク魂が付いてこなければ、結局何をやってもダサイのです。
上に記した鋲アクセサリーや南京錠ネックレスも、それを身に付ける者が真のパンクロッカーでなければ「ファッションだけ」になってしまうからです。
アクセサリーにこだわるのも良いですが、決してアクセサリーに振りまわされないよう、気をつけましょう。

・髪型はどうしよう

さて、衣装の次は髪型の問題があります。
髪型に関しては、とりあえずツンツンしていれば正解です。
しかし、形だけにとらわれ、意味も分からないまま、ただツンツンさせているだけではいけません。
それではまさにファッションパンクです。

なぜパンクロッカーは髪をつんつんさせるのでしょうか。
定説ですが、これは「重力に逆らうため」と言われています。
つまりパンクの持つ全ての物への反抗心を体現するのが、あのツンツンに逆立てた髪型だということです。

ということは、言い換えれば「重力に逆らっている」ことが重要であって、必ずしもツンツンである必要はないのです。
そうなれば話は簡単ですね。
とにかく重力に逆らってさえいれば、髪型は何でも良いのです。

まず考えられるのが寝グセです。
真のパンクロッカーならばライブ直前まで酒に溺れて寝ているはずですから、そのままの寝グセで出ればOKです。
ただし寝グセは自分でセットするほど、意図的に逆立ってくれないという欠点があります。
たまたま巧い具合に逆立った寝グセが出来てくれれば良いのですが、初心者のうちはなかなか寝グセのコントロールが難しいものです。
寝グセを使うのはライブ経験豊富な上級者のみにした方が良いでしょう。

次にオススメするのが、静電気を使って重力に逆らう方法です。
用意するものはプラスチック製の下敷き1枚のみです。
これを用いて、重力に逆らう方法を解説いたします。

まずは静電気の起こりやすい環境を整えましょう。
静電気は気温が15度以下になると多く発生するといわれています。
ですので、この方法を使う場合は夏よりも冬の方が有利です。
夏場で室温が15度以上という場合は、ライブハウスの人などに頼んで、クーラーを強めに効かせてもらいましょう。
「重力に逆らうためだ」といえば、大方のライブハウスでは快く承知してくれるはずです。

次にプラスチック製の下敷きを脇の下にセットし、動かしながらこすりつけましょう。
このとき、ノースリーブなど脇の下が露出したものではうまくいきません。
長袖のYシャツなどが良いですが、最も良いのはセーターです。セーターは静電気を発生させやすいからです。
これにより下敷きに静電気を帯電させます。

あとは下敷きを重力に逆らいたい人の頭の上に持っていくだけです。
すると、驚くことに髪の毛が下敷きに吸いつき、重力に逆らうことが出来るのです!
これをパンク専門用語で「帯電誘導」といいます。
なお、髪は乾燥しているほど帯電誘導が起こりやすく、多くの髪を重力に逆らわせることができます。
一方、水分を多く含んだ髪では帯電誘導が起こりにくく、さほど多くの髪が重力に逆らってくれません。
ですので、帯電誘導を使って重力に逆らいたい場合は、あまりヘアケアーをしないことが重要になってきます。

このように手軽で簡単に重力に逆らうことの出来る帯電誘導は、今でも多くのパンクロッカーに愛用されている最もメジャーな方法です。
しかし、この帯電誘導にも全く問題が無いわけではありません。
特に致命的な問題は、下敷きをセットしている間しか、髪が重力に逆らわないということです。
また、定期的に脇の下で下敷きに静電気を帯電させる必要があるため、ライブ中、何度もセーターを着ては下敷きをこすりつけ・・・を繰り返さなければならないのです。

これらのことを煩瑣に感じるパンクロッカーの中には、ハードスプレーなどの整髪料・スタイリング剤などを使って、髪を逆立てる人もいると聞きます。
もしかすると、今後、こういった整髪料を使った「重力の逆らい方」がメジャーになるかもしれません。
古い形のパンクにこだわる人の中には「整髪料を使ったツンツンは邪道だ」という方もいますが、しかし、パンクとは古い概念の打破であるというテーゼを思い出すならば、こういった新しい「重力の逆らい方」が出てきたことも、むしろ歓迎すべきことではないかと私は思います。

なお、ファッションパンクの人によくありがちな間違いが、
「重力に逆らえばいいんだろ?簡単だぜ、逆立ちすりゃいいだけじゃないか」
というものです。
確かに逆立ちをすれば髪は簡単に逆立ちます。
しかし、それは間違いです。
確かに髪はあなたの頭に対して逆立ちますが、それは結局のところ重力の正常な働きに過ぎず、重力の支配に逆らっているわけではないのです。むしろ重力へ従順しているといって良いでしょう。
形ばかりにとらわれ、「重力に逆らう」という最も大切なことを忘れてしまった、典型的なファッションパンクですね。

また、ボーカルが逆立ちをするのは特に危険です。
デーモン小暮閣下の「天地逆転唱法」と間違えられるからです。
ファッションパンクどころか単なる聖飢魔IIファン(メタラー)と思われてしまう、パンクロッカーにとってこれほどの屈辱はありませんよね。

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