STEP1 「ピストルズを聴こう」



コピーバンドを始める前に、まずは簡単にセックス・ピストルズについておさらいしておきましょう。
ピストルズのことはもう知ってるよ、という方も一度は目を通してください。
確かにピストルズはパンクの基本ですが、基本を疎かにしてピストルズを勝手に解釈してしまえば、あなたもファッションパンク一直線です。
ピストルズに対し、誤解のない正しい認識を持つためにも、いま一度ピストルズを確認しましょう。

・パンクってなに?

ピストルズの前に、まずは「パンク」の説明です。

パンクを簡潔に定義するならば「シンプルで攻撃的なリズムに批判的・反体制的な政治思想・メッセージを乗せた音楽」といって良いでしょう。
また歴史的視点から見るならば、高い失業率に見舞われ古臭い慣習に辟易した’70年代の英国の若者たちの怒りが火をつけたムーブメントといえます。
彼らは自分たちの怒りを表現するために、音楽を選びました。
その音楽はパンク以前のような堅苦しく小難しいものではありませんでした。
彼らの怒りを現す音楽は極めて感情的であり、シンプルかつ原初的なものだったのです。

と、最初から小難しい話になってしまいましたが、まあ、そんな細かいところは丸暗記する必要はありません。
パンクバンドを始めるにあたって、大切なことは幾つかしかないのですから。
つまり

  • パンクバンドは怒りを音楽に乗せて叫ぶ
  • パンクバンドの演奏は技術を必要としない

ということです。
基本的に私たちが過去の歴史から学ばなければならないことは、(抽象的には)たったのこれだけなのです。
しかし、これが難しい。
概念だけは理解していても、なかなか実践に結びつけることができず、多くのパンクバンドはファッションパンクと呼ばれてしまうのです。
このページでは、セックス・ピストルズに依拠した具体的事例を挙げながら、上記の概念を実際にどう具体化するのかを丁寧に解説していきますので、ご安心下さい。


・ピストルズを知ろう

パンクについての説明はご理解頂けたでしょうか。
では、次はいよいよ、パンクムーブメントの主役であり、唯一のパンクロッカーである、「セックス・ピストルズ」について詳しく知ることにしましょう。

ピストルズの最初のメンバーは、ジョニー・ロットン(V)、スティーブ・ジョーンズ(G)、グレン・マトロック(B)、ポール・クック(D)の四人です。
彼らはマルコム・マクラーレンの経営するブティック「セックス」の常連客でした。
マルコムはマネージャーとして彼らを焚き付け、ここにパンクの始祖セックス・ピストルズが誕生したのです。
ピストルズはシングル「アナーキー・イン・ザ・UK」「ゴッド・セイヴ・ザ・クィーン」でその過激な歌詞の内容が一大センセーションを巻き起こし、レコード会社からの2度の契約破棄の後、最初にして最後のアルバム「勝手にしやがれ」をリリースします。

その後、ベースのグレン・マトロックがクビになり、代わりに入ったのがジョニー・ロットンの親友にして、後にミスターパンクと呼ばれるシド・ヴィシャスです。
シドは全くベースが弾けず、歌もロクに歌えませんでしたが、彼は生活自体がパンクという、本物のパンクスだったのです。
彼はヘロインの過剰摂取により21歳の若さでこの世を去り、伝説となりました。

セックス・ピストルズの活動は、期間にしてわずか3年程度、アルバムは一枚出したっきりです。
伝説のバンドなのに、リリースしたアルバムはたった一枚なのです。

現代に生きる私たちは、彼ら偉大なる先人から多くのことを学び取らなければなりません。つまり……

  • マネージャーは必要だ
  • レコード会社に媚びない(誰にも媚びない)
  • 楽器は弾けなくても良い(弾けない方が良い)
  • 生活からパンクの方が良い
  • 活動は短い方が良い
といったことです。

彼らが2度も契約破棄にあったのは、レコード会社の意向に沿おうとしなかったからです。
このように、彼らは例え相手が権力者であろうと媚びようとはしませんでした。
レコード会社という、ミュージシャンにとって絶対的な存在であろうとです。
彼らは何物にも関せず、ただ自分たちの欲求にだけ素直に従っていたのです。
他者への追従や、権威への盲信など、彼らには全く無縁のものだったのです。
ですから、私たちも、彼らを見本とし、彼らを見習い、彼らの精神性を受け継ぐ形で、パンクという精神の伝統を紡いでいかねばならないでしょう。
この姿勢を無条件で受け入れることが、現代に生きる私たちパンクロッカーの絶対的義務といっても良いのです。

パンクというものはステージの上に限った話ではありません。
また、間違っても音楽のいちジャンルであるなどと考えてはいけません。
その人の生き方そのものがパンクでなければならないのです。
この点が多くのファッションパンクの方々の勘違いしているところです。
彼らはしばしばステージ上だけで、音楽上だけでパンクを示そうとしてしまうのです。
このページでは、そういった「生活の上でのパンク」についても具体例を示し、丁寧に解説を加えていますので、ご安心下さい。

なお、活動は短い方が良い、とは1バンドに限っての話です。
1つ1つのバンドの活動スパンは短くあるべきです。
解散したら、また次のバンドを作れば良いのです。
ピストルズの例を参考にするならば、アルバムを1枚出したら解散するくらいの気持ちでいたほうが良いでしょう。

・ピストルズの音源を手に入れよう

さて、ピストルズの歴史を学んだ後は、実際にピストルズの音源に触れてみましょう。
ピストルズの音源は、4枚のシングルと1枚のアルバム、後は数種類のライブアルバムやベスト版、企画CDが出ています。
とりあえずは、アルバム「勝手にしやがれ」を聴いておけば間違いはないでしょう。
(「勝手にしやがれ」を聴いた後はどれでも良いのでライブアルバムを聴き、レコーディングアルバムとの差を感じ取れればモアベターです)

さて、アルバム「勝手にしやがれ」ですが、これを入手する方法は数種類あります。

  1. レコード店で新品のアルバムCDを購入する
  2. 中古レコード店で中古のアルバムCDを購入する
  3. レンタル店でアルバムCDをレンタルする
  4. 音楽好きな友達から借りる
  5. パンクな友達から借りる
さて、これらの手段のうち、セックス・ピストルズの音源を味わうのに最も適した手段はどれでしょうか。
まず避けたいのは1の「レコード店で新品のアルバムCDを購入する」と、3の「レンタル店でアルバムCDをレンタルする」です。
これも先に述べたことですが、パンクとは単なる音楽ジャンルのひとつではありません。
パンクとはその人の生き様それ自体を指すのです。
手垢もつかない傷一つない新品CDが果たしてパンクスの聴くべきCDといえるのでしょうか。
答えはNO!です。そもそもCDを新品で購入しようという姿勢自体がブルジョアジーの考え方です。
パンクというムーブメントが貧しい労働者階級の怒りの声であったことを考えれば、そのようなブルジョア志向が望ましいものとは思えません。
自覚してください。
新品のアルバムCDを購入した時点で、あなたは既にファッションパンクなのです。

「レンタル店でアルバムCDをレンタルする」という選択肢は、せせこましく、プロレタリアートの雰囲気を醸しています。
その意味ではこの選択肢は悪くはないのですが、しかし、レンタル店のCDというものは常に傷が付くのを怖れる小心者のCDです。
いうまでもありませんが、傷一つ付いていないアルバムCDはパンクではありません。
パンクスが聴くべきCDとは、CDの裏面に大きな傷跡がクッキリと付いており、5秒に1回は音飛びをするような、そのようなものが本当のパンクスのCDです。
ですから、多くの場合傷一つ付いていないレンタル店のCDはセックス・ピストルズを聴くには相応しくないのです。
ただし、これには留保があります。
もし、そのレンタル店が、ピストルズに限らずどのCDを借りても傷だらけである場合は、レンタルしてもパンク的に問題はありません。
これは決してそのレンタル店がずぼらなことを意味しているのではありません。
むしろ、そのレンタル店が真のパンクだったということなのです。
そのようなレンタル店が身近にある人は、自分の恵まれた環境を神に感謝しましょう。

ここで私がお勧めしたいのは、2の「中古レコード店で中古のアルバムCDを購入する」、ならびに5の「パンクな友達から借りる」です。
中古レコードは店によっては音盤の状態を記して販売しています。
あなたのするべきことは、まずセックス・ピストルズのコーナーへ行き、その中で最も傷が多いと書かれているCDを探すことです。
置かれている中古CDの中で、最も程度が悪いと書かれているCDを見つけたら、それをレジに持っていきましょう。
ここで何も考えず迂闊に購入してはいけません。
パンクとは常に細心の注意を払って、正当な手順を踏まなければならないのです。
そう、レジでは多くの場合、検盤が可能、つまりCDの裏面を見て、CDの状態が納得できるレベルのものか購入者が判断することができるのです。
そのCDの裏面を見て、傷の付き具合を詳細にチェックしてください。
その傷があまりに小さく、浅く、とても音飛びしそうにないレベルのものであった場合、それはパンクスの聴くようなCDではありません。
「こんなものパンクスが聴けるかよ!ファッキュー!」
と吐き捨て、店を後にしましょう。唾などを吐くと、より効果的です。
こうして何店かの中古CD屋を巡り、あなたが十分だと思うほどに程度の悪いものを探してください。

友達から借りるのも良いでしょう。
セックス・ピストルズのCDを持っているのは、音楽全般が好きな友達か、もしくはパンクな友達です。
後者の友達がいないならば前者の友達から借りるしかありませんが、それはあまりお勧めできません。
音楽が好きでピストルズのCDを持っている友達は、きっとそのCDをとても大切に扱っているからです。
そんな友達のCDにパンクに相応しい傷が入っていることを期待してはいけませんし、そのようなCDにあなたが傷を付けてしまったら、その友人は悲しい気持ちになることでしょう。

やはりベストな選択は、パンクな友達から借りることです。
その友達がファッションパンクではない、本当のパンクスならば、後述する「ピストルズを正しく聴こう」を間違いなく実践しているはずです。
そうであるならば、その友達から借りたCDはボロボロのギタギタになっているはずです。
あなたは労を費やさずして、パンクを聴くのに最適な音源を入手することができるのです。
そんな友達がすでに周りにいる人は、これからパンクを始めようとする多くの人よりもずいぶんと有利なスタートラインに立っているのです。
やはり、恵まれた自分の環境を神に感謝してください。

・ピストルズを正しく聴こう

さて、ピストルズの音源を正しく入手できたでしょうか。
前記の項目「ピストルズの音源を手に入れよう」を正しく実践できたのであれば、いまあなたの手元には、裏面に深刻な傷がいくつも入った、酷い音飛びがする「勝手にしやがれ」CDがあるはずです。

しかし、満足の行くCDを手に入れたからといって、すぐにそれを自慢のコンポに挿入して再生ボタンを押してはいけません。
ここで気を抜いてしまえば、あなたもファッションパンクです。
あなたは紳士淑女の社交場にふんどし一丁で赴きますか?
違いますよね。
良識ある人間は、その場に合った適切な服装と心構えを持って望むものです。
パンク音源を聴くときも同じです。
セックス・ピストルズの音源に触れるとき、私たちはそれなりの服装と心構え、環境を用意しなければならないのです。

こう書くと、多くの人はこう思うでしょう。
「CDひとつ聴くのに、パンクってやつはなんて大袈裟なんだ」
と。
ですが、何度も繰り返している通り、パンクとは生活そのものなのです。
音楽というミクロな視点ではなく、人生というマクロな視点でパンクを捉えなければならないのです。
ですから、私たちがパンク音源を聴くときには、ちゃんとした「パンク生活」の中で聴かなければならないのです。

では、具体的にはどうすれば良いのでしょうか。
まずはあなたの部屋の様子を見て下さい。
もしかして、あなたの部屋は物があるべきところに丁寧に整理整頓された、非常に衛生的な部屋ではないでしょうか?
それではいけません。
これではたとえセックス・ピストルズの音源を何度聴いたところで、あなたはファッションパンクのままです。
部屋がパンクではないからです。

ピストルズのCDを聴くためにあなたのするべきことは、まず部屋を散らかすことです。
最低、床が見えない程度までゴミで散らかす必要があります。
ゴミの種類は何でも良いですが、インスタント食品やファーストフードといったジャンクフードの残骸が望ましいです。
スナック菓子の類でも良いでしょう。
また、部屋を散らかすためには部屋が狭い方が断然効率的です。
一人暮しの場合は仕方がありませんが、もしあなたが家族と一緒にお住まいであれば、家の中で最も狭い部屋に自室を移してもらいましょう。
立派なパンクロッカーになるためだ、といえば、家族の理解も得られるでしょう。

さて、部屋の準備が出来たら、次はあなたの服装です。
とはいえ、流石に部屋の中まで、ちゃんとしたパンクファッションに身を包む必要はありません。
それではいくら何でも堅苦しいですからね。普段着のままで結構です。
しかし、普段着といっても決して洗いたての真っ白いYシャツなどを着てはいけません。
そんな服装でピストルズを聴こうなど、パンクに対する冒涜以外の何物でもありません。
もしあなたがちゃんとしたパンクスであるならば、あなたの普段着は毎日の自堕落な生活と殴り合いにより、ギリギリ衣類として認識できる程度まで汚損しているはずです。
まさにそれがピストルズを聴くのに適したユニフォームといえるでしょう。
衣類に、血や飲食物や吐瀉物の染みなどが付いていればモアベターです。

こうして、部屋と衣類がピストルズ音源を聴くのに相応しいものになったならば、ようやくあなたはピストルズの音源を手に取ることが出来ます。
ですが、まだ聴くことは出来ません。
音源を聴くために大切なステップがもう1つ残っているのです。
それは、CDをテープにダビングすることです。

いうまでもありませんが、まずCDというメディア自体が非常に軟派です。
何度聴いても音が劣化しないというセコイ考え方がまったく小市民的で、とてもパンクとはいえません。
やはり、真のパンクスが聴くに相応しいメディアはカセットテープです。これしかありません。
聴くごとに音質が劣化していき、いつかは壊れるカセットテープ。
この一期一会の感覚はまさに“瞬間を生きる”パンクスならではのものでしょう。
もちろん、ダビングには細心の注意を払い、出来る限り酷いダビング環境を揃える努力をするべきです。
とにかく、いまある最高の音質を出来る限り高い再現性で再生しようなどというファッションパンクな思考は捨ててください。
ダビングが終わった後は、CDはすぐさま友達に返却するか、叩き壊してください。

カセットテープは用意できましたでしょうか。
親からビートルズのカセットを借り、その上からダビングできれば最高ですね。
それでは、遂にピストルズ音源を再生しましょう。
しかし、何を用いて再生しても良いというわけではありません。
これまでの手続きを見ても分かる通り、再生媒体にも留意すべきポイントが多数あるからです。

まず、再生に用いるコンポは最悪でもAIWA製であるべきです。
ペラペラな音しか出ないからです。
SONY製、パナソニック製、ましてやONKYO製のコンポを使っている方は、いますぐ窓から投げ捨ててください。
そんなコンポを使っていること自体がファッションパンクです。

もし、もっと贅沢が出来るのであれば、ロシア製のラジカセを用意したいところです。
それも、80年代前半以前の型が良いです。
共産主義時代の製品ほど質の悪いものはないからです。

再生媒体が用意できたならば、カセットをラジカセにぶち込みましょう。
もちろんカセットはしかるべきところに定位置収納してあるようではいけません。
部屋のゴミの山の中に適当に裸のまま埋もれているカセットを手探りで探し出し、おもむろにラジカセにぶち込み、鉄槌を下すかのように再生ボタンをONにするのです。

もしあなたの用意したラジカセが共産主義世界の製品であった場合、あなたは「再生ボタンを押したにも関わらず音が出ない」という幸運に巡り会えるかもしれません。
何が幸運かというと、あなたはそこで最もパンクらしい行動を取ることが出来るからです。
つまり、音の出ないラジカセを怒りに任せ、気の済むまで殴打することが出来るのです。
ここで、「おかしいなぁ」とラジカセを覗き込んだり、不具合の原因を探し出そうとしてはいけません。
そんなことではファッションパンクです。
正しいパンクスであれば、怒りの感情に身を任せ、ただラジカセを殴打するのです。

幸か不幸か問題なく音が出た場合、あなたが次にすべき行動はラジカセを部屋の隅に向かって叩きつけるようにして放り投げることです。
部屋の真中にラジカセがあったのでは、あなたが音源に合わせて踊り狂うときの邪魔になるからです。
これで音源を聴くのに最低限必要な環境が整いました。

しかし、ここで聴くというのは、いわゆる静聴を意味しません。
そんなものは音楽ファンに任せておけば良いことです。
私たちはパンクロッカーなのですから、踊り狂わなければならないのです。
ですが、私たちパンクスは何物にも躍らされてはいけません。
あくまでも自分のしたいように、動き、踊り、暴れなければならないのです。
すなわち、ピストルズの音楽とは全く無関係に単に部屋をメチャクチャにしろ、ということです。

パンクに詳しくない人は、このピストルズの聴き方がまったくの不毛な作業であるかのように感じるかもしれません。
ですが、これがパンクの歴史に脈々と受け継がれた、正しいパンク音源の視聴法なのです。
伝統であるということは、つまり、これがパンクロッカーにとって最も効率的なパンク音源の聴き方であるということなのです。

・パートを決めよう

前記の2項目を通し、あなたは正しくセックス・ピストルズの音源「勝手にしやがれ」に触れることが出来たと思います。
これからコピーすべき音源を聴き、パンクにとって大切な精神性などを理解できたでしょうか。

正しくピストルズ音源に触れることが出来たあなたは、「早くこの音楽をコピーしてえ」というムラムラとした欲求を抱えていることと思います。
その初期衝動は大切です。
音源を聴いて受けた衝撃が覚めやらないうちに、自分はどのパートがやりたいのか、さっさと決めるべきです。

セックス・ピストルズのコピーバンドを始めるにあたっては以下のパートが必要となります。

  • ボーカル
  • ギター
  • ベース
  • ドラム
  • マネージャー

言うまでもないことですが、このうち最も人気が高いのがベースです。
ミスターパンクであるシド・ヴィシャスのイメージが強いのでしょう。
誰もがこぞってベースをやりたがります。
ピストルズのコピーバンドをやりたいと思っている人の約8割がベースを志願しています。

次に人気があるのがボーカルです。
やはり、機材費が掛からないことと、手ぶらでスタジオやライブに行けて楽ちんなことの魅力が大きいのでしょう。
また、楽器を持たないためライブではいちばん身軽であり、気軽に客とケンカが出来ることも人気の要因でしょう。

ギターとドラムは、完全な脇役です。
基本的に彼らの仕事はライブ会場をうるさくして、ベースやボーカルが客とケンカしたりするのを盛り上げる役目です。
ほとんどのパンクスがジョニーとシドの名前は知っていても、スティーブとポールの名前は知らないことからも分かる通り、ギターとドラムは全く目立ちません。
しかし彼らがいないと鳴り物が全くなくなってしまうので、ライブが寂しいものになってしまいます。
本当に目立ちませんが、彼らは大切な縁の下の力持ちなのです。
ですが、実際のところ、ほとんどのパンクスは嫌々ギターやドラムを引きうけているというのが現状です。

ギターやドラムを自分から進んでやりたがるという、奇矯な人は少ないでしょう。
いまこれを読んでいるあなたも、おそらくはベースをやりたいと思っているのではないでしょうか。
もちろん、ギターやドラム、ボーカルをやりたいと思ったとしても、変わり者ではありますが、決して悪いことではありません。
それがあなたの初期衝動ならば、その感情に従うべきです。
ただ、一般的にはピストルズのコピーバンドをしているのにギターやドラムをやっているというと、周りの人からは冷ややかな目で見られることを覚悟しなければなりません。
周囲の人の目が気になるならば、素直にベースを選びましょう。

なお、マネージャーは非常に特殊なパートです。
パンクバンドには必ずなくてはならない大切なパートですが、これが出来るパンクスはほとんどいないでしょう。いや、むしろパンクスにマネージャーは務まりません。
あなたは真のパンクロッカーになりたいと思い、このマニュアルを参照しているのですから、マネージャーになりたいという欲求は捨ててください。
マネージャーはまた別で見つけるべきです。
あなたがやるべきことではありません。

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