2002年9月15日
夜:カレーうどん?(まぐろさんカレー使用)
朝起きたら8時20分で、龍騎のほとんどを見逃した。
今日は目黒で「目黒さんま祭り」というお祭りがあった。落語の「目黒のさんま」に由来するお祭りで、事前に調べたところによると、炭火焼きのさんま(すだち・だいこんおろし付き)が食べ放題で、お土産に生さんまとすだちを持って帰ることができ、ちっちゃな缶ビールも貰えるという。目黒までの交通費は定期を利用しても往復320円。さんまをニ尾以上食べ、お土産品を全て持ち帰れば、ちょうど元が取れると判断し、参加を決めた。
目黒についたのは10時40分。さんま祭りは10時に始まり2時には終わるという。まあ、さんまを食べて、お土産貰って帰るだけなら1時には帰路に着けるだろうと考えていた。焼きさんまの配布も、既に人が並んでいるかもしれないが、日曜の午前中からさんまのためだけに並ぶようなヒマ人がそんなにいるとも考えにくい。並んだとしても20〜30分程度だろう。それならニ尾食べるくらい問題は無い。
だが、私の考えは甘かった。甘すぎた。目黒には長蛇の列が出来ていた。200メートルは続いていただろうか。20分、30分など冗談じゃない。さんまにありつくまで実に2時間半も並ばされた。最低ニ往復はしないと元が取れないのだが、体力の無い私は並んでいる間も倒れそうで、とても二度目を並び直す気はしなかった。お土産の生さんまの配布もそれなりの列が出来ていて(焼きさんま配布よりは短かったが)、とてもじゃないが気力が追いつかず、すごすごと帰った。
確かに、私の実家福山では同様のイベントがあっても20分も待てば確実にさんまが食えるだろう。しかし、ここは東京だ。福山市と比べ、人口の絶対数が格段に違う。2時間半待ってさんま一尾食べるなど、常識で考えれば有り得ない話で、非効率の極みだが、絶対数が多いということはヒマ人も多いということである。今日は大切なことを学んだ。東京にはヒマ人が多い。
楽しいこともあった。並んでる時にテレビの生中継らしき一団が通り、おばちゃんが「うわー、すごい並んでるー。ここがやっと最後尾ですねー」という風にリポートしていた。このおばちゃんは周りの人の話を聞くにには、たまにテレビなどに映っている人らしいが私は知らなかった。しかし、テレビの画面越しにこういったリアクションを見るなら普通に受け止めれるが、生で見ると「うわ!なんだこのイタイおばちゃんは!?」と思ってしまうものだ。とても貴重な経験が出来た気がする。テレビの収録は生で見ると、結構有り得ない。
家に帰って、訪れてきた後輩二人とスキヤキを賭けてゲームで勝負。ゲームは「ドカポン3・2・1」というSFCゲーム。桃鉄とドラクエを足して二で割ったようなゲームで、モンスターを倒して街を開放し、最終的に最も資産を稼いでいた者が勝者となるゲームだ。
このゲームが桃鉄や人生ゲームと大きく違うところは、運以外にプレイヤーの干渉できる部分が非常に大きいことだ。ゲームシステムは極めて凶悪で、プレイヤー同士の様々な妨害工作、時によっては直接対決を推奨している。極端な例を出すと、トップの者がフィールド魔法を駆使し、他プレイヤーを殺し続けることだって出来る。生き返ったところを即魔法で殺せるので、非情に徹すれば1時間でも2時間でも延々と殺しつづけることが出来る。他のプレイヤーはさいころを振ることすら許されない。格ゲーでハメ技を使い続けるようなものだ。もちろん、ドカポンの場合はそこに至るまでの過程が非情に難しく、他プレイヤーも細心の注意を払って行動するので、一方的に押さえ込まれることはそうない。何せ、プレイヤー同士の可能性は開始時は全くのイーブンだからだ。
開始時の可能性はイーブンでも、実際はプレイヤー同士の力量―戦術・知識・状況判断―や、サイコロの出目で伸びる者は伸び、落ちる者はどこまでも落ちていく。「友情破壊ゲーム」がこのゲームのキャッチフレーズだが、まさにその通りだ。
私はこの後輩二人とこのゲームで学生時代から良く遊んでいたのだが、相当勝率は悪かった。運だけでなく、彼らと私とでは人間性能が大きく違う。まず、早稲田4年のK氏。彼は後に紹介するT氏と比べればそこまで凶悪ではない。的確な状況判断と、やたら強いサイコロ運を持つが、それ以外はまだ普通の血の通った人間である。
問題は東大4年のT氏だ。この男は本当に凶悪だ。彼はびっくりする程頭が切れるが、それを「人を陥れるために使うことが大好き」という、レベルEのバカ王子みたいな人で、まさにこのゲームをやるために産まれてきたような人間である(ゲームだけの話です。日常生活ではたぶん普通の人です)。先のK氏と違い、彼のやり方は徹底している。勝利へと向かう姿勢は非情なもので、勝つためならどんな汚いやり方でも平然と行ってくる。状況判断も的確で常に私の5、6手先を読み、全体を見通す眼力もかなりのものだ。舌先三寸で私を言いくるめ、うまいように動かすのも得意だ。若干運は悪いが、圧倒的なプレイヤー性能と冷徹さで、最強の座を欲しいままにしている。普段はとても良い人だが、このゲーム中だけは腹立たしくて仕方無い男だ。
そんな悪鬼のような二人とやるドカポン。普通にやると喧嘩になりかねないので、常に「何かを賭けて」やるようにしている。そうすれば勝負ということで非情に徹することが出来るからだ。今回はスキヤキを賭けての勝負だった。すなわち2位が野菜を負担し、3位が肉を負担するというものだ。私は正直言って彼ら二人に全然勝てる気がしなかったのだが、とはいえ運の要素も強いゲーム。あまり強く断ることは出来なかった。
蓋を開けてみると、序盤の私は絶好調。他二人を引き離し、独走態勢に入る。二人は「今日は先輩の勝ちですねー」と軽軽しく言っているが、私は「勝てる確率は30%程度だろう」と思っていた。序盤で少々運に恵まれたからといって、勝てるようなゲームではない。
案の定、中盤でK氏にぬかされる。今日のT氏は面白いほど運が悪く底を這っていて、K氏と私の二極対立の構図となった。流石にこの時点で「いくらなんでも二位は堅いだろう」と私も思い始めた。
が終盤、T氏が怒涛の追い上げ。流れが来たのかさいころの出目も良く、あっさりと追いつかれる。魔法で足止めするも、ラスト1回で効力が切れ、さらに資産を増やされ逆転負け。・・・・や、やっぱり、嫌だ。このゲーム。
というわけで、私が肉代を負担してスキヤキ大会。いや、別に後輩に肉を奢ること自体は構わないのだが、ゲームで負けたことが悔しすぎる。このゲームで逆転負けすると、「もしかして私は極端に世渡りや駆け引きがヘタなのではないだろうか、こんな調子でこの先生きていけるのだろうか」という気分になり、落ち込む。しかしスキヤキが美味しかったので、少し元気になった。でも、あんなゲーム、もうやらない。もう誘わないで下さい。普通にヴァンパイアセイヴァーしましょう。
スキヤキをたらふく食って、最後にうどん玉を入れてすきやきうどんを食べてる頃、大変なことに気付く。しまった、今日はまだカレーを食べていない!
どうやって食べようかと一頻り考えた後、何も考えずにうどんに入れてみた。するとカレーうどんの味になった。それまでは確かにスキヤキうどんの味がしていたのだが、スキヤキうどんの面影は微塵もなくなり、全くの純粋なカレーうどんの味となった。びっくりした。でもまあ美味しかった。 |
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